校長室(H30)

カテゴリ:校長 つれづれの記

運動の秋

 このポスターは,高等部のマラソン大会のお知らせです。知的障害教育の特別支援学校は,高等部卒業後の社会(職業)生活をしっかりと送ることができる力として“体力”を重要と考えています。長い年月を働き続ける体力,欠勤することのない体力,そして,一日を集中して働く体力があることで豊かな生活を送ることが可能になると思います。そこで,中学部や高等部では朝の時間を利用して校庭を走る体力作りを行っています。その成果の一環として行われているのが,冒頭で紹介したマラソン大会です。それぞれの体力に合わせた距離と時間を設定し,決して順位を競うものではありません。自分の目標に向かって走りきることが大切です。このポスターは第2回マラソン大会の案内ですので,前回(春)に第1回が開催されています。その時より距離であったり時間であったりが上回っていれば大変素晴らしいことですが,その時よりも劣っていたとしてもやりきることが大切で,その達成感がこれからのいろいろな取り組みに生かされると考えます。

 知的障害教育の特別支援学校では,このように様々な学習活動が行われていて,将来の社会生活に必要とされる力の育成に努めています。

 

素晴らしかった音楽鑑賞会

 以前のこのコーナー中で,医療型障害児入所施設に入所している生徒(訪問生)の運動会を取り上げましたが,今回は同じ訪問生でも在宅児童生徒の学校行事である音楽鑑賞会を紹介します。在宅訪問生とは,医療的ケアを必要とする児童生徒の中でも,その状況が頻繁であったり,学校の看護師ではケアできない医療行為が制限されていたりして登校ができない児童生徒を指します。そんな子どもたちも教師が自宅を訪問し,週3回2時間程度の学習を行い,月に数回はスクーリングで学校に登校もします。そして,写真にあるような音楽鑑賞会が学校行事として企画され,すてきなピアノ演奏や歌唱に触れて,すてきな時間を過ごしています。当日も地域の方々に音楽の演奏を提供してくださる方の協力で音楽鑑賞会が行われました。体力的に1時間が限界な中,盛りだくさんの内容で演奏や歌唱が行われましたが,児童生徒は素晴らしい音色や歌声にゆったりした時間を過ごし,とても穏やかな表情をしていたのが印象的でした。このような取り組みも子どもたちの生きる力になっているのです。

まだまだ,水泳シーズンです

 写真の建物はなんだかわかりますか。これは,プール棟です。本校のプールは全天候型屋内プールになっており、天候に左右されずに水泳指導ができるようになっています。子どもは水遊びが大好きですが,障害のある子どもたちにとっては、暑さの中での不快感を上手にコントロールする力が弱いために,イライラ感を募らせたり,時にはパニックになってしまったりします。今年のような猛暑の夏は,クーラーのない学校で授業に参加する子どもたちにとっては,大変つらいものだったと思います。そんな中での水泳指導は,子どもたちのとっての憩いの活動となっています。ですので,天候によってプールには入れないことがないよう屋根のついた全天候型の建物になっています。6月下旬から始まった水泳指導は9月いっぱいで終わりになりますが,台風21号が通り過ぎた翌日からは湿度の高い蒸し暑い残暑が続いているので,連日水泳指導が行われ,子どもたちの楽しそうな声が聞こえています。

猛暑の中、学校再開

 

 今年の夏は、全国各地で最高気温が40度を超すなど、猛暑の夏となっています。それに加えて西日本では豪雨による災害があり、例年言われている異常気象が顕著になっているように感じます。そんな中、本校も夏休みが明けて、夏休みの思い出をたくさん持った子供たちが元気に登校してきました。例年であればお盆を過ぎた東北地方は暑さも和らぎ、朝晩は肌寒さを感じたりもするのですが、今年はそんな感じが全然しません。先生方にも熱中症など暑さ対策を十分した中での活動をお願いしたところです。国では公立小中学校すべてにエアコンを設置することを決めたようですので、来年度はエアコンのある環境で授業ができることを期待したいと思いながら、残りの夏の残暑を無事過ごせるよう、子供たちの体調観察や管理を徹底していきたいと思います。

働く力を育てる

 特別支援学校には作業班がある話をしましたが,それは社会自立を目指すことが知的障害児には必要不可欠だからです。なぜならば,彼らのほとんどは高等部を卒業したら18歳で社会に出て働かなければならないからです。ごく希に高等教育機関(大学等)に進む生徒はいますが,企業や福祉施設で働くことが彼らの進路になっています。そのために,学校では様々な教育活動を通して,働く力の育成を目指しているのです。その一つが作業学習です。作業種には農園芸,木工,陶芸,縫製,調理,紙工,清掃など,さまざまありますが,目的の一番目は働く態度と集中力です。スキルの習得は向上するにこしたことはありませんが,職業訓練学校ではないのでそれを第一の目標とはしていません。決められたルールの中できちんとそれを理解して行動できるか,集中と持続力を持って一定時間作業に取り組めるか,そして,報告や相談(質問)が的確にできるかなどを毎日の活動を通して学んでいきます。こうした3年間の積み重ねによって,社会人としての態度が身に付いていきます。特別支援学校の就労率が常に高い(希望する生徒のほぼ全員が一般就労する)こうした学習を通して働く力を育成しているからなのだと思っています。

野菜がいっぱい

 写真は本校の高等部作業班(通称あぐり)と中・高等部A課程(重度重複生徒)の畑です。知的障害特別支援学校高等部の教育課程は,社会自立を目指す観点から働く力を育てるための作業学習が主な学習になっています。他にも木工や粘土,調理や縫製,革細工や紙すきなど,その学校で生徒の実態に応じて先生方の特技を生かした様々な作業種を用意しています。その中でも農作業は,生徒の実態差が大きくても対応できる作業工程がたくさん作りことができ,野菜の生長を間近に体験しながら日々の手入れに取り組むことができるため,多くの学校にある作業主となっています。本校では,すでにタマネギやニンニク,じゃがいもの収穫が終わり,今は,キュウリやなす,トマトなどの収穫が行われている最中です。他にも,サツマイモに枝豆,長ネギ等々があり,暑い中でも頑張って農作業に取り組んでいる生徒たちです。ただ,学校には夏休みがあり,その期間は生徒による手入れができないというネックがこの農作業にはあるので,その期間は先生方が交代で手入れをして立派な野菜を作っているのです。収穫した野菜で夏野菜カレーなどを作って食べる学習も行われていて,学習の幅が広いのも農作業班の特長です。

 

スクールバスで元気に登校

 本校は,12台のスクールバスが仙台市内の青葉区や泉区などを走り,小・中学部の児童生徒(高等部の生徒の一部も含まれます)の通学の足となっています。写真は下校を待つスクールバスですが,6台しか写っていません。あとの6台は小学部校舎に配車されているのです。それは,一度に12台が本校舎で待機するスペースがなく,また,小学部と中・高等部の校舎が離れていることから効率的かつ安全に児童生徒の乗降をさせるために,バスは半分ずつそれぞれの校舎で待機しています。
 通学に要する時間は多い子どもで約1時間乗車しており,バスの中ですっかり寝てしまって,到着時にぐずりながら降りてくることもありますが,みんなバスは大好きで楽しみにしています。特別支援学校の学区は広域に設定されており,保護者の送迎には相当の負担がかかることを考えると,とても大事な教育委員会の事業であると思います。子どもたちが安全に登下校できるよう,バス運行会社と定期的に情報交換を行っています。元気にバスから降りてくる子どもたちの様子を見るたびにパワーをもらっている毎日です。

将来の自立生活に向けて

 高等部では前期就業体験がありました。3年生を中心に卒業後の就労の場を決めるための現場実習を2週間行います。それぞれの持つ力に合わせて企業実習する生徒,福祉施設や生活介護施設で体験をする生徒がいます。特別支援学校高等部の生徒にとって,学校生活3年間の学習のすべてが,卒業後の生活につながる学びとなります。写真は,それぞれの前期就業体験の活動報告会の様子です。自分たちがどんな経験をしてきたのかをみんなの前で発表することで,経験の振返りを認識させ,次の就業体験への意欲付けにつなげる狙いがあります。ほとんどの生徒がしっかり友達や先生の話に耳を傾け真剣に聞いている姿がありました。この就業体験を通して一人一人の課題も明らかになっています。学校でその課題を克服するため学びをしっかり行い,後期就業体験に望んでほしいと思います。高等部3年生すべての生徒が希望する就労先(企業や福祉施設等)に入れるよう学校はしっかり指導・支援をしていきます。

本校の給食

 写真は,本校の給食です。この日のメニューは,パンプキンパン,コンソメスープ,ハムチーズフライ,コールスローサラダ,キウイフルーツです。一週間をご飯の日,麺類の日,パンの日に分けて,栄養教諭が子どのたちの嗜好に合わせた献立を考えてくれています。カロリーは,小学部で500~600Kcalで,中・高等部が700~800Kcalあり,おなかを満たすには十分だと思います。
 さて,写真にある通常メニューの上に小皿に分けられたものがありますが,なんだか分かりますか。これは,重度重複障害の児童生徒のための特別食(ペースト状になったもの)です。重度重複障害の児童生徒は咀嚼力や嚥下の力が弱いため,通常の形状では食事をすることができません。そのため,写真のように給食室でペースト状に下ごしらえをして提供するのです。児童生徒の実態に応じて,パン,フライ,サラダ,スープの具をきめ細かいペーストからやや荒いペーストまで個別に用意します。手間のかかる作業ですが,調理員が丁寧に用意してくれるおかげで,児童生徒は毎日おいしい給食を食べることができます。本校は,教師以外の様々な人たちに支えられて教育活動が行われています。
 余談ですが,私も検食では必ずこの特別食を食べています。はじめの頃は,ペースト状のためにためらいを感じましたが,味は基のメニューと同じですのでおいしいので,食べるのが楽しみになっています。

石碑に刻まれた言葉

 学校の昇降口前のピロティーに大きな石碑があります。その黒い石には次のような言葉が刻まれています。「愛あらば子は皆いとし 健やかに育て たくましく生きよ」誰が言った言葉なのか石碑には記載がなく,学校の周年記念誌等を調べて見ましたが分かりませんでした。ただ,読み返すたびに愛情の深さがしみてくるのです。障害のある子どもたちの子育ては,当事者でないと分からないたくさんの苦労があります。多くの母親が子育てに疲れて間違った考えを巡らせてしまったり,自分を責めて心を病んでしまったりしている様を耳にするたびに,身近で接している教師は,少しでも母親の気持ちにより添い,何かできることはないかと心情を察しながら,言葉を選びながら関わろうと思慮するものです。この言葉はそんなときに思い浮かんだ言葉のような気がします。「愛があれがどんな子どももみんな愛おしいもの。だから,子ども自身が持つ健やかに育つ力やたくましく生きる力という成長をを信じなさい。」と母親を励ましてくれているように思います。自然な形で母親にこんな言葉をかけられる教師でありたいと思います。