校長室(H30)

カテゴリ:校長 つれづれの記

働く力を育てる

 特別支援学校には作業班がある話をしましたが,それは社会自立を目指すことが知的障害児には必要不可欠だからです。なぜならば,彼らのほとんどは高等部を卒業したら18歳で社会に出て働かなければならないからです。ごく希に高等教育機関(大学等)に進む生徒はいますが,企業や福祉施設で働くことが彼らの進路になっています。そのために,学校では様々な教育活動を通して,働く力の育成を目指しているのです。その一つが作業学習です。作業種には農園芸,木工,陶芸,縫製,調理,紙工,清掃など,さまざまありますが,目的の一番目は働く態度と集中力です。スキルの習得は向上するにこしたことはありませんが,職業訓練学校ではないのでそれを第一の目標とはしていません。決められたルールの中できちんとそれを理解して行動できるか,集中と持続力を持って一定時間作業に取り組めるか,そして,報告や相談(質問)が的確にできるかなどを毎日の活動を通して学んでいきます。こうした3年間の積み重ねによって,社会人としての態度が身に付いていきます。特別支援学校の就労率が常に高い(希望する生徒のほぼ全員が一般就労する)こうした学習を通して働く力を育成しているからなのだと思っています。

野菜がいっぱい

 写真は本校の高等部作業班(通称あぐり)と中・高等部A課程(重度重複生徒)の畑です。知的障害特別支援学校高等部の教育課程は,社会自立を目指す観点から働く力を育てるための作業学習が主な学習になっています。他にも木工や粘土,調理や縫製,革細工や紙すきなど,その学校で生徒の実態に応じて先生方の特技を生かした様々な作業種を用意しています。その中でも農作業は,生徒の実態差が大きくても対応できる作業工程がたくさん作りことができ,野菜の生長を間近に体験しながら日々の手入れに取り組むことができるため,多くの学校にある作業主となっています。本校では,すでにタマネギやニンニク,じゃがいもの収穫が終わり,今は,キュウリやなす,トマトなどの収穫が行われている最中です。他にも,サツマイモに枝豆,長ネギ等々があり,暑い中でも頑張って農作業に取り組んでいる生徒たちです。ただ,学校には夏休みがあり,その期間は生徒による手入れができないというネックがこの農作業にはあるので,その期間は先生方が交代で手入れをして立派な野菜を作っているのです。収穫した野菜で夏野菜カレーなどを作って食べる学習も行われていて,学習の幅が広いのも農作業班の特長です。

 

スクールバスで元気に登校

 本校は,12台のスクールバスが仙台市内の青葉区や泉区などを走り,小・中学部の児童生徒(高等部の生徒の一部も含まれます)の通学の足となっています。写真は下校を待つスクールバスですが,6台しか写っていません。あとの6台は小学部校舎に配車されているのです。それは,一度に12台が本校舎で待機するスペースがなく,また,小学部と中・高等部の校舎が離れていることから効率的かつ安全に児童生徒の乗降をさせるために,バスは半分ずつそれぞれの校舎で待機しています。
 通学に要する時間は多い子どもで約1時間乗車しており,バスの中ですっかり寝てしまって,到着時にぐずりながら降りてくることもありますが,みんなバスは大好きで楽しみにしています。特別支援学校の学区は広域に設定されており,保護者の送迎には相当の負担がかかることを考えると,とても大事な教育委員会の事業であると思います。子どもたちが安全に登下校できるよう,バス運行会社と定期的に情報交換を行っています。元気にバスから降りてくる子どもたちの様子を見るたびにパワーをもらっている毎日です。

将来の自立生活に向けて

 高等部では前期就業体験がありました。3年生を中心に卒業後の就労の場を決めるための現場実習を2週間行います。それぞれの持つ力に合わせて企業実習する生徒,福祉施設や生活介護施設で体験をする生徒がいます。特別支援学校高等部の生徒にとって,学校生活3年間の学習のすべてが,卒業後の生活につながる学びとなります。写真は,それぞれの前期就業体験の活動報告会の様子です。自分たちがどんな経験をしてきたのかをみんなの前で発表することで,経験の振返りを認識させ,次の就業体験への意欲付けにつなげる狙いがあります。ほとんどの生徒がしっかり友達や先生の話に耳を傾け真剣に聞いている姿がありました。この就業体験を通して一人一人の課題も明らかになっています。学校でその課題を克服するため学びをしっかり行い,後期就業体験に望んでほしいと思います。高等部3年生すべての生徒が希望する就労先(企業や福祉施設等)に入れるよう学校はしっかり指導・支援をしていきます。

本校の給食

 写真は,本校の給食です。この日のメニューは,パンプキンパン,コンソメスープ,ハムチーズフライ,コールスローサラダ,キウイフルーツです。一週間をご飯の日,麺類の日,パンの日に分けて,栄養教諭が子どのたちの嗜好に合わせた献立を考えてくれています。カロリーは,小学部で500~600Kcalで,中・高等部が700~800Kcalあり,おなかを満たすには十分だと思います。
 さて,写真にある通常メニューの上に小皿に分けられたものがありますが,なんだか分かりますか。これは,重度重複障害の児童生徒のための特別食(ペースト状になったもの)です。重度重複障害の児童生徒は咀嚼力や嚥下の力が弱いため,通常の形状では食事をすることができません。そのため,写真のように給食室でペースト状に下ごしらえをして提供するのです。児童生徒の実態に応じて,パン,フライ,サラダ,スープの具をきめ細かいペーストからやや荒いペーストまで個別に用意します。手間のかかる作業ですが,調理員が丁寧に用意してくれるおかげで,児童生徒は毎日おいしい給食を食べることができます。本校は,教師以外の様々な人たちに支えられて教育活動が行われています。
 余談ですが,私も検食では必ずこの特別食を食べています。はじめの頃は,ペースト状のためにためらいを感じましたが,味は基のメニューと同じですのでおいしいので,食べるのが楽しみになっています。

石碑に刻まれた言葉

 学校の昇降口前のピロティーに大きな石碑があります。その黒い石には次のような言葉が刻まれています。「愛あらば子は皆いとし 健やかに育て たくましく生きよ」誰が言った言葉なのか石碑には記載がなく,学校の周年記念誌等を調べて見ましたが分かりませんでした。ただ,読み返すたびに愛情の深さがしみてくるのです。障害のある子どもたちの子育ては,当事者でないと分からないたくさんの苦労があります。多くの母親が子育てに疲れて間違った考えを巡らせてしまったり,自分を責めて心を病んでしまったりしている様を耳にするたびに,身近で接している教師は,少しでも母親の気持ちにより添い,何かできることはないかと心情を察しながら,言葉を選びながら関わろうと思慮するものです。この言葉はそんなときに思い浮かんだ言葉のような気がします。「愛があれがどんな子どももみんな愛おしいもの。だから,子ども自身が持つ健やかに育つ力やたくましく生きる力という成長をを信じなさい。」と母親を励ましてくれているように思います。自然な形で母親にこんな言葉をかけられる教師でありたいと思います。

校長だより「二つの校舎」

 

 二つの写真を見てください。一つは虹の模様がタイル張りされた建物,もう一方は六角形のトンガリ屋根がある建物,どちらの光明支援学校です。最初の写真は本校舎と呼ばれている中学部と高等部,そして,小学部の重複障害の児童が学んでいる校舎で,後の写真は小学部の単一障害(知的障害)の児童が学んでいる校舎です。それぞれお互いの校舎から移したものですが,距離にして500m,歩いて約7分かかります。校舎が二つに分かれているのは,児童生徒数の増加にともなうものですが,本校舎を増改築するのではなく,これまであった既存の教育施設の移転に伴って空きとなった建物を小学部校舎として改築して利用したためです。私はこの二つの校舎を行き来して,登校の出迎えや下校の見送り,授業や給食の様子を参観をしています。近くて遠いこの距離ですが,子どもたちの元気や姿や笑顔を見るのが楽しみで頑張っています。歩いて移動できる距離とはいえ,校外に出て公道を歩くのは危険が伴うこともあり,小学部が本校舎に移動する(体育館やプールの利用など)ときは学校のバスを利用しているなど,教育活動に不自由さがありますが,先生方はそんな環境をポジティブにとらえて子どもたちが達成感を味わえる活動を想像してくれています。

校長だより「元気いっぱい!」

 5月は,高等部と小中学部がそれぞれに運動会が行われました。どちらの好天に恵まれて,思いっきり走ったり,体を動かしたりしました。本校は,知的障害に加えて肢体不自由を併せ持った児童生徒も在籍しているので,それぞれの障害に合わせて競技が行えるよう先生方の工夫があるので,精一杯の力を出している姿が感動的です。一人一人の持てる力を出し切る達成感が成長につながるこのような行事は大切です。

校長だより「大いに盛り上がりました!」

 5月は高等部の体育祭に始まり,小中学部の運動会と季節感たっぷりの行事がどこの学校でも行われています。そのような中で本校では訪問生の体育祭(運動会)が医療型障害児入所施設で行われました。彼らのほとんどは学齢超過者と呼ばれている方々です。1979年(昭和54年)に養護学校が義務教育になる以前、本人および保護者の意思に関わらず、多くの障害児の保護者に対して就学猶予や就学免除の適用がされていました。実際のところは,障害児のための学習環境の整備が遅れていたため、重度の障害児本人および保護者が学校教育を受けることを希望しても、ほとんどの場合で入学が認められなかったのです。しかし,特別支援学校(養護学校)の整備が進み社会状況の変化も伴って,教育を受ける権利や学習権の拡充を図る観点から,過去に就学猶予や就学免除になった事のある学齢超過者に対して、特別支援学校に入学して教育を受けることができるようになりました。そんな彼らの体育祭があり参加してきましたが,大いに盛り上がりを見せていました。普段は刺激の少ない生活を送っている彼らにとって,仲間はもちろん大勢の参加者(担任はもちろん,家族の方々)との関わりは,教育というツールだから与えられることができる貴重な機会です。そこには喜怒哀楽があり,これこそが生きる力の源になっていると思います。

校長だより「生きがい探し」

 先日,障害者スポーツ大会(卓球)に出場した生徒を応援するために,会場に出かけた。到着したのが少し遅れてしまい,多くに生徒の予選がすでに終わってしまっていたが,予選を突破した何人かの生徒の応援をすることができた。障害者スポーツ大会には,この卓球の他にボウリング,陸上,フライングディスク,水泳,そして球技(サッカーやバスケットボール)がある。出場する生徒は,学校に部活があってコンスタントに練習している者,この大会のために学校で集中的に練習する者,また,放課後にサークル等に参加している者,など様々である。当然練習量に差があるわけで勝敗もそれに左右されるが,生徒一人一人の真剣さは皆ピカイチである。残念ながら,本校の生徒はベスト8に進出したのが最高だったが,成績よりも全力を出し切ったすべての生徒をたたえたいと思う。彼らは全員高等部の生徒で直に社会へ巣立っていくわけだが,社会人となったときにスポーツであれ趣味であれ,仕事以外で関われる活動があることが社会生活を続けていく手立てとなると考える。これからも自分の生きがい探しのための活動をたくさんしてほしい。学校はその手伝いをするところでもある。